情に掉さして…

家族って何だろう。

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私は実家を離れた兄弟と 隔離されていた。
父親の意思で。

弟たちのこと…どんなことを知ろうとしても
「お前には関係ない」と言われる。

しかし、母はときに
私に情報を流してしまう。

やさしさというか
そういう点で とても緩いひとなんだ。

もし父親の前で
私に うっかり話しそうになると
父は母の言葉を牽制した。

今回の弟に関する
留年の“暴露”話は 広島にいた頃
母親からのメールで知った。

私はすべて 知らない風を装ったけど
父親がメールのことを知ったら
怒り狂うんじゃないだろうか。

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実家は 居づらい場所だった。

父は「お前と一緒に飯を食いたくない」
ともに食卓を囲むこともない。

「たてつくな」
「お前はすべてが間違っている」
「狂っとるわいや」
そう一方的に言われて 私はただ
だまって曖昧な笑みを浮かべてるだけ。

微笑むなんておかしいけど
無表情で黙ってると
反抗的だと思うらしいから
いつも ちょっと微笑んでいた。

私の思慮が浅いからしかたない
…というのは ちょっと違って
10歳に満たない時期から
こういう言い方をされていた。

私は何も言い返せないので
子どもの頃 黙って睨みつけていたら、母から
「お父さんのこと、殺したいと思ってるでしょ」
…などと 勝手に吹き出しを描かれていた。

もう、微笑むしかない。

私のほうからは 父親と
直接話をすることも許されなくて
「Kを通して話せや」とか言われてた。

…なんというか…

そんなKは うつ病…
家族から病気であることすら認められない、とか。

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Kではない、もうひとりの弟
もう一生関わることがないような気がする。

きっと両親が ずっと養うんだろう。

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母は宗教的な…。
それが生きがいなら 否定しない。

ただ 私の影や足音に気づいたら
あわてて閉じる本、
父の前では 本の存在すら隠して…

隠しながら 家族を大切にすべきという宗教の内容を
私たちに説きたがる。

そのひずみが 家族をひずませてるって
全く気づかないのは 世の七不思議。

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私はひそかに
鳥取の実家をはなれた。

最後の最後まで誰にも話さず

県外に職とねぐらを探して。
地元の仕事を静かに辞めて。
職場、行きつけの店、体育館、楽器店、海…
大好きだったひと、モノ、場所
みんなに最後の別れを告げて。

“貸し倉庫”に荷物を預けて。
手紙ひとつと
携帯を実家に置いたままにして。

そんなこともあった。

東京での生活が半年を過ぎた頃
もういいかな、と
新しいメールアドレスと電話番号を伝えた。

そして今回、Kに関する相談メールが来た。

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昔から私に発言権はない。
何の専門的知識もない。

なのに何故
コトバを求めるんだろう。

…家族って、何だろう。

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