K
私にはふたり弟がいて
Kは末っ子。
愛嬌があり、人にやさしく、賢くて
私はいつも すげーなぁと思う。
「きょうだいの中で Kだけは まとも」
「お前は見習うべきだわいや」
と、父は私に言った。
そんなKは現役で大学に進学し
実家から離れた。
最初の頃は アパートに友だちを呼んで
料理を振舞ったり
趣味の管弦楽を続けていたりと
Kらしいエピソードを聞いていた。
それが。
大学3年のときいきなり
「留年することになった」と
母からメールが届く。
はい?
何?
唐突すぎるし。