イン・ノミネ (御名によりて)
今夜は風が強い。
虫の声は遠くにあるけど
すぐそばにある、風の共鳴に阻まれている。
半月がある。
近くにひとつ星がある。
光が強く、鋭く、刃物のように
切り込んでくるみたいで、痛い。
セイタカアワダチソウが、なびいて波打つ。
美しくも、怪しく。
何か生き物のように、速くて遅い。
在る恐怖ではなく、無い恐怖。
何が無いのか、認識が無い恐怖。
ただ、うごめいている。
何が?
いつもと同じ、田舎道。
ちょっぴり冬の片鱗を、垣間見た。
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『イン・ノミネ(御名によりて)』
タヴァーナー<John Taverner(1490頃 – 1545)>
前に一度、名前だけ出した。
リコーダーで演奏したことのある曲。
明日は、リコーダーの教授を受ける日だから
無意識に、リコーダー・モードになってるみたい。
「なんてきれいな曲」っていうのが、最初の感想。
実際演奏してみると
他のパートとリズムを合わせるのが、メッチャ難しい。
音は単純なんだけど
小節線が、あってないようなもの。
横の流れが何本かあって
それらが巧く絡んで
音楽が織り成されているような感じ。
今は、また別な曲を練習してるけど
なぜか、夜道を歩いている間
頭の中でずっと、『イン・ノミネ』が流れていた。