立ち返る場所

青すぎるブルーな夜
ひとりでいると、ろくなことを考えない。

模様、色、光、影、好きなもの、嫌いなもの
現在、過去、いいもの、悪いもの、現実、空想…
ぐちゃぐちゃに、一度に意識を占めようとする。

もうすでに思考さえも
崩壊してたりして。

こうなっちゃうと もう自分の意識じゃ
コントロールできないんだよね。

そんなとき
まとまりをもった世界が
意識の中に流れ込んだりする。

公園のゆりかごの中、同級生数名と座っている。
向かい側には、立ってゆりかごを漕いでいるアイツの姿。

ゆりかごは大きく揺れた。世界は加速していった。
みんな騒いでいたけど、私はひとり黙ってた。
そのときアイツは、私の目を見て言った。

「こわくないか?」

アイツは アウトサイダー。
だれかれかまわず
粗暴な振る舞いをして困らす。

そんなアイツが気遣うなんて。
6歳の頃、まだ走れなかった。
明らかに極端に 身体能力が劣っていた。

それをいいことに暴力を振るわれ
邪険にされるのが 、あの頃の私の日常。

気遣われる経験なんかない。

だからこそ
アイツにかけられた言葉は…視線は
衝撃的だった。

・・・意識は現実に戻った。
しばらく呆然としていた。

崩壊した意識の破片は
跡形もなく消え去っていた。

ゆりかごの記憶。
小1の頃の、確かな現実。
立ち返ることのできる、大切な記憶。