ふたつの世界

2月。

寒くて手が かじかんでると
キャラメルの薄い包み紙が
うまく開けられない。

手がいうこときかなくて
すぐに落としてしまう。
紙をつまんでる感覚もないから
紙が全然はがれない。

あぁ これが…

老いであり、障害であり
「もうひとつの世界」だ。

正確に素早く効率的に。
現代社会のあり方は いつも、そう。

駅のエレベーターのスピードは早い。
私はせっかちなので
さらに歩いて昇ったり降りたり。

一方で エレベーターのスピードより
ゆっくりしか歩けない人もいる。

エレベーターは止まらない。
後ろから どんどん人が運ばれてくる。
ラッシュ時はとても危ない。

エレベーターは現代社会の賜物。
おかげで階段の昇り降りが難しいひとも
駅を利用しやすくなった。

だけど…

現代社会を前に進めるために
前へ前へと ひたすら進む通勤客。
いま今日この時を生きるために
階段の手すりに しがみつくように歩く人。

ふたつの世界が交錯する。

売上を上げるために命を削る
スーパーのスタッフ。
病院でままならない身体をもて余す
患者さん。

今 私が見てる
狭い狭い ふたつの世界だよ。


神社にあった
かわいい葉っぱたち。

異次元

Posted by 禅寺丸