2013年 長い夏。(6)

なんだかお客様が少ない。
お盆「商戦」じゃない。

「時勢が変わったけぇ」と
パートのおばちゃんは言った。

家に帰ったら 母が批判している。
「墓参りに帰らんでもいいみたいな」
「最近のモンは」

ふうん。

ちょっとイラッとして
「Tもそうじゃないかな…」と
言ってしまった。

もちろん、嫌味にならないよう
遠い目をしてぽつりと
高めの薄く小さい声で。
ちいさなちいさな ひとりごと。

母は黙った。
そう、何も言えなくなること知ってるから。
だからなるべく声に出さないし。

Tは私の弟。わけありの。

母は思考を止めてることも知ってる。
だからこそ私は 走っていく。
ときがきたら脱兎さんになる。

そしたら さぁ、考えてみてね。

Tのことも、Kのことも
家族そのものののありかたも。
あと、変な宗教には すがらないように。

そうそう。
Kも私の弟。彼はまだ学生。


8月8日、はっさくはずいぶん立派になった。


8月11日、あさがおが並んだ。