お客様は…

落ちこぼれをみると、攻撃せずにいられない人がいる。
仕事のデキる、パートのおばちゃん。
50代後半。

私が作業をしていると
「早くして下さ~い」
と、催促してくる。

“ウザイんだけど~”っていう感情が
イントネーションや態度からあふれている。

リーダーの人が、私に向かって
その人を手伝うよう指示するのを聞くだに
「いりませ~ん!」とキッパリと言う。

“いる”とか“いらん”とか、モノ扱いか?
この人は、他の人に対しては
こんな言い方を、絶対にしない。
くやしいけれど、何も言えない。
私はデキないから。

私にできる、ただひとつのこと。
「はい」と答える。それだけ。

レジは、たいていペアでの作業。
注文係と、レジ係。
注文係は注文を聞き、その内容をレジ係に伝える。

あの日、私は注文係。
そのおばちゃんはレジ係。
注文を聞いて、伝えても
再びお客様に確認する。

お客様は、2度も注文をくりかえすことになる。
ふつう、そんなことさせない。

そして「もっとはっきり、言ってくださ~い」と
お客様の目の前で、私に向かって注意する。

私はやっぱり「はい」と答えた。

「ちゃんと言っとるだろうが!!」

・・・驚いた。
私のかわりに、お客様が
そのイヤなおばちゃんに激怒した。

おばちゃん、こっぴどく叱られた。

“お客様は神様だ”
なんかのマンガに書いてあった。

・・・本当に、神様だったよ。