二人の教授に呼ばれた話

ヒゲ先生と白衣先生に呼ばれた。

「実習はどうだったか」「難しいことはあったか」など
穏やかに、ひととおり聞いた後で、ヒゲはあっさり言った。

「まあ、実習Ⅲの単位はないということで」

・・・

「え、そうなんですか?」
「がんばったのは、ホントによくわかるけど
送られてきた評価票などが、基準に満たなかったということで」
「前期も、後期もですか?」
「総合的に判断して、ちょっと基準に達してないなと」

白衣が、割って入った。
「I田先生には、もう伝えてあるから」

I田先生いわく
「白衣は、オレのことを恐れている」。
実力があるし、はっきりモノ言うからね。

私がI田先生にココでの出来事を告げて
I田先生にわめき散らかされるのを、未然に防いだ とか?

ヒゲは続けた。
「何か、聞きたいことがあったら、何でも聞いて」
「いえ…今は、思いつきません」
私は答えた。ほんとに思いつかないんだから。

「ヒゲ先生、いいですか?」白衣が割って入った。
「実習ⅠⅡ、あのセンター実習、あるよね・・・」

何で、いきなりそれが出てくるの?
・・・
この間は?
その表情は なに?

「・・・そっちのほうは単位が出てるから」

内心ほっとした。
「ああ、よかったです」

「どう思った?」白衣がたずねた。
「『センターも(単位がないの)?』って、思ってしまいました」
「こんなふうにね。こんなことだって、聞いていいんですよ」

実習Ⅲの話をしてて
わざわざ「実習ⅠⅡの単位はあるんですか」とか
聞くわけないじゃないか。
こんなふうにね、とか言って、
何の関係もないセンターの話をからめて
ひとの感情をもてあそぶし。

「センター実習のほうの単位はあるけど、これから・・・
土曜日のK藤先生だったよね。
来年度もK藤先生に指導を受けるのかな?」
「はい…そのつもりです。ケースもあるので」

ヒゲが口を挟んだ
「何ケースもってるの?」
「2ケースです」
「2ケース。いいところですね」
ヒゲと白衣はうなづきあった。
「じゃ、土曜日、続けるということで」

この白衣…
ヤな奴…ヤな奴!