ラスト青果

存在はいつでも思い出せるのに
背格好とか雰囲気とか
そういったリアルな記憶は 復活しづらい。

たぶん容量が大きすぎるから
それを開くと ほかのウィンドウが
フリーズしてしまうんだ。

この頃 某学会の話をきいた。
学生時代に所属してた学会。

学生時代 お世話になった
あんなひと、こんなひと。

あの頃私のまわりに どういう人物がいて
どういうふうに関わったか。
走り書き程度の記憶が
妙にリアルに 色彩を帯びてきた。

そして なんか
いつも傍にいた あの…

今日は 制服を返しに会社へ行って
帰りに 青果のバックヤードに寄った。
もう最後だからね。

午後メンバーと話していたら
主任が休憩終わって帰ってきた。

そして 主任にも声をかけた。

ああ。
絶対いつかやると思ってた。

主任を「先生」と呼んでしまった。

恥ずかしすぎて
目が回った。

あの頃 いつも傍にいた あの
学生時代の恩師 K藤先生と
今目の前にいる主任の声、
質も音量も まるで同じなんだ。

べつに主任は恩師のことなんか知らないし
恥ずかしがることじゃない。
ただ、私の小さな小さな世界の中で
あまりにも重要人物すぎただけ。

主任の声をはじめて聞いたときから
今日の出来事を予知してた。
それがまさか
自分が退職したあとのコトだったとは。

最初に最後を知るとか
なんか…ちょっと切ない。

ところで明日は ついに旅立ち。

まだ 大仕事が残ってるけど
それはまた今度。