しずく

昨日は朝から雨模様。
新幹線の窓にしずくが、風にゆらいで落ちていく。

「蒼い小さい人魂が、儚くゆれて落ちていく。」
子どもの頃に、車窓に流れる雨に見入って
そんなことを、よく考えていた。

生まれては落ちていく水滴が
あまりにきれいで、いとしく映った。

昨日は昔と、おんなじことを考えた。

とても雨が好きだった。
土と草木の香りが好きで
鮮やかになった景色が好きで
小さい雨のしずくが好きで。

でも、年重ねるほど
雨は邪魔でしかたなく
洗濯しても、外に出せない。
外が暗くて、気分も浮かない。
いつしか雨が、苦手になった。

異郷の地で見た雨は
昔失くした感覚を
今頃になって返してくれた。

中学生の私が、すでに落とした
あったことすら忘れた感覚。

写真やビデオじゃ感じられない
すごくライブな世界だよ。