産地。

大学に入学して以来、鳥取の方言から離れていた。

もともと鳥取弁が好きくなかったのも手伝って
地元の友達と話して広島弁が混ざり
関西地方の人と話して、関西弁的音韻が混ざり
九州の人と話して、独特な言い回しが混ざり
気がつけば、どこの言葉を話しているのか
よくわからなくなっていた。

4月の半ば、3日ほど実家に帰った。

母は広島弁+鳥取弁
父は岡山弁+鳥取弁
末っ子の弟のみ、純然たる鳥取弁を話す。

いずれにしろ、鳥取弁に囲まれた3日間だった。
それでも私は、鳥取弁からかけ離れた
よくわからないイントネーションを貫いた。

最後の日、毎日母の愚痴に付き合ったあげく
母は私の愚痴まで、私に言いはじめた。
…しゃべり始めると止まらない人なんだ。

まともに聞いたらやってられんと思い
聞いているふりをしていたが
ある瞬間、ついにカチンときてしまった。
声でかいから。
私の5倍、音量があるから
聞きたくなくても聞いてしまうじゃないか。

そのとき叫んだ私の言葉に、私は自分で驚いた。
7年前捨てたと思った、純然たる鳥取弁だった。
音韻も、独特の言い回しもすべて。

…ああ、やっぱり私は鳥取で生きたんだ。
それは捨てられない事実。